東京築地の老舗包丁店 東源正久
COLUMN2022.10.04

ふぐ引包丁

ふぐ引包丁

・本焼 白紙二号鋼 ※本刃付済み

ふぐは古くより秋のお彼岸から春のお彼岸までが旬と云われています。
特に薄造りのふぐ刺しのための包丁「ふぐ引」のご案内です。

ふぐ引きは刺身包丁の一種で柳刃に似た形状をしていますが、柳刃に比べ峰薄で刃の幅もやや狭く刃道も直線的、より薄造りに適した形につくられています。
河豚(フグ)に代表される身のしまった白身魚の上身を切り分けたり、薄造りにする際に仕事がしやすい分、刀身が非常に薄く繊細で欠けやすいため、研ぎ方や扱いなどにも細心の注意が必要です。

関西ではふぐのことを「テッポウ」と呼び、その「テッポウ」の刺身を引く庖丁ということで「てっさ包丁」とも呼ばれています。
また、下関あたりでは「ふく」と呼ぶなど地域で呼び名が様々あり、高級魚とされながらも古くより日本全国で親しまれ食されていたことがわかります。
現在のように広く「ふぐ」と呼ばれるようになったのは江戸時代中頃の関東からだそうです。

呼び名は様々でも「ふぐ引」の形状は全国的に大差がない点からも、この形が薄造りに特化していること、理にかなっていることがうかがえます。

  • 幅の違いもありますが、ふぐ引の方が刃道が直線的になっています。

  • 柳刃の半分くらいの厚みになっています

当店の炭素鋼(白紙・青紙)のふぐ引きは、鋼のコシがしっかりと出るよう入念に鍛造し、「水焼き」で焼き入れすることで硬みを強く出した、切れ味と刃持ちの両立を探究する関東鍛冶の特徴を活かした製品です。

特にコシと硬みを強く出し、全体的に限界まで薄く仕上げる当店の別誂ふぐ引は、大正時代中頃より東京に進出されたふぐ料理専門店や関西割烹の親方衆にも重宝され、関東のお得意先同様永くご贔屓いただいています。

“寒打ち”と云う、一年で一番水が締まる大寒当日に焼き入れをする昔ながらのお誂えもののお承りが多いのもふぐ引で、ふぐ=福と縁起を担ぐ和食らしい慣わしが残っています。

本焼、本霞とも使用鋼材は安来鋼白紙二号鋼、青紙二号鋼、青紙一号鋼ご用意していますが、白紙1号鋼は受注製造にて承っております。
また、不銹鋼につきましても本霞のみで銀紙3号鋼、V金10号鋼は受注製造が可能です。
※刃渡りはマチから測ります。

是非この機会にご使用いただければと思っております。

オンラインショップはこちらから↓
https://www.tokyo-masahisa.co.jp/

一丁一丁手造りですのでバランスやコシの具合などが多少違ってきます。
ご来店もお待ちしております。