- COLUMN2020.06.09
もう錆びさせない!鋼の包丁のお手入れの仕方
はじめに
ご覧いただき誠にありがとうございます!
梅雨や夏の季節、湿度の高い日が続くと鋼の包丁には錆が生じやすくなります。
今回は梅雨を目前に、せっかくの包丁に錆が生じてしまわないためのお手入れの仕方について紹介いたします!
日頃店頭でご案内させていただいておりますことをまとめましたら少々長くなってしまいました。
よろしければ最後までご覧下さい。
まず、鋼の包丁に錆が生じてしまう原因は以下のようなものがあります。
- ・水気や湿気・・・食材に含まれる水分や包丁を洗った後、保管場所の湿度など
- ・食材の酸やアク・・・果物や酢漬けにした食材に含まれる酸や野菜のアクなど
- ・塩分・・・海水で下処理したり、塩味の強い食材を扱う場合など
毎日のお料理中やお料理後に、これらに気をつけてきちんとお手入れをすることで包丁に生じる錆を防ぐことができます!
ご使用中のお手入れ
必要なもの
・キッチンペーパーや乾いたタオル、フキンなど
お料理中に食材を切り終え鍋やフライパンに移した後や、他の家事などのために一度包丁を置いておく際にはキッチンペーパーやタオル、フキンなどで水気をよく拭き取ることが重要です!
キッチンペーパーや薄いタオル、布巾をお使いの際は万が一それが切れて怪我をしてしまわないように何枚か重ねたり、畳んで厚くしてお使いください。
切った食材によって錆や変色の生じやすさは異なりますが、特にごぼうやはす等のアクの強い野菜や、柑橘系の果物のように酸の強い食材を切った後は一度水で濯いでから拭くようにするとより効果的です。
包丁の安全な拭き方
①峰側から拭く
峰側から拭く際は、峰側から包丁を指で掴むようにして元から先に向かって拭きます。
この時にタオル等が刃で切れてしまったり、アゴ(赤色の丸印の部分)に引っかかったりしないよう、深く掴み過ぎないように注意しましょう。
※包丁は元の幅が広く、先の幅が狭い形が多く、先から元(矢印とは逆方向)へ向かって拭くとタオル等が切れたり、怪我をしてしまう原因となりますのでご注意ください。
②刃側から拭く
刃側を拭く際は特に刃で怪我をしないよう注意しましょう。
峰側と同じように拭こうとするとアゴが引っかかり危険ですので、刃をつかむ際は刃と手の間に十分隙間を開けて掴み、
刃に対して垂直方向へ引き抜くようにして、元から先まで何回かに分けて拭きます。
①、②の拭き方を2〜3度ほど繰り返し拭くことできちんと水気を拭き取ることができます!
特にアゴの部分の拭き残しに注意してください!
ご使用後のお手入れ
必要なもの
・包丁
・錆止めの油(ご家庭ではサラダ油など植物性で口に入れても問題がなく、色や匂いの少ないものが好ましいです)
・使い捨てできるキッチンペーパーや油がついても良い布など(ただし清潔なもの)
・新聞紙(新聞紙が無ければチラシや広告紙など)
・輪ゴム、もしくはテープなど
ご使用後は以下のような順番でお手入れをしましょう。
①洗剤を使って包丁全体を清潔に洗います。
洗い終わったらすぐに乾いたタオルなどで水気をよく拭き取ります。
また、包丁をしまう前には柄までしっかりと乾かすようにしましょう。
柄に染み込んだ水分が原因で、柄が傷んでしまったり、柄と刃の間から錆が生じたりすることがあります。
柄まできれいによく洗った後、全体に熱湯をかけると除菌ができ、乾きも早くなります!
※ただし刃を火で炙るなど極端に熱してしまうと包丁本来の焼きが戻り、包丁が切れなくなってしまうことがあるため、おすすめしません。
②何日か使わない事がわかっているようでしたら、刃全体に薄く油を塗りましょう。
刃に数滴油を垂らし、刃で手を切らないように気をつけながらキッチンペーパーなどで薄く刃全体に塗り込んでください。
油を塗ると空気中の酸素や水分が刃に触れなくなるので、保管している間に錆が生じてしまうことを防ぎます。
当店では刃物用のツバキ油を使用しておりますが、ご家庭でのお手入れでは食用の植物油が便利です。
食品を扱うものですので、口に入れて害のない油を使用してください。
また鋼の包丁は刃に油の色や匂いが移りやすいため、なるべく色や匂いの少ない油が好ましいです。
③最後に新聞紙で刃全体を包みましょう。
新聞紙を写真のように折って置き、刃全体を覆うように巻き、最後は輪ゴムやテープで止めます。
洋包丁で鍔(つば)がついているものは鍔にも油を塗り、新聞紙で覆うと鍔に錆が生じることを防ぎます。
写真では例として洋包丁を包んでいますが、和包丁も同様に新聞紙で包むことができます。
木の鞘に入れたままにしたり、タオルやさらしなどで包んだままにしてしまうと湿気が篭り、包丁に錆が生じる原因となってしまうことがあるため、注意が必要です。
紙類は湿気から刃を守りますので保管用としてとても便利ですし、
汚れてしまった際に新しいものと取り替えることが容易なのも良いところです。
チラシや広告紙など薄い紙を使用される場合は二重に重ねて包むと安全です。
もしも錆が生じてしまった場合には
必要な道具
・錆取り用の道具(サビトールもしくはクレンザーとコルク、食器用スポンジ)
当店ではサビトールの使用をおすすめしております。
水で洗い流しながら、錆が生じている箇所を消しゴムのように擦るだけで表面の簡単な錆なら取ることができますので、毎日のお手入れにもとても便利です!
包丁の表面の錆を素早く取り除くことができる中目と擦った跡の目立ちにくい細目の二種類の荒さを取り扱っております。
※鏡面の包丁に使用すると鏡面部分を曇らせてしまいますのでご注意ください。
もしも包丁に錆が生じてしまった場合、その錆が深くなる前に対処することがとても大切です。
①錆取り用の道具(サビトールなど)を用いて錆が生じている部分を刃に気をつけながら擦ります。
また、刃先を擦ると刃が切れなくなってしまいますので、刃先の錆を取り除きたいときは砥石で刃を研ぎ直すことをおすすめします。
②擦った跡からは再度錆が生じやすいため保管する際はきちんと油を塗り、新聞紙で包みましょう。
サビトールが無い場合、市販のクレンザーをワインのコルクや食器用スポンジの柔らかい面に取り、錆が生じている箇所を刃に気をつけながら強すぎない力で何度も擦ってください。
サビ取り用の道具を使うより時間はかかりますが、表面の錆を取ることができます。
またサビトールを使うよりも擦った跡が目立ちにくいという利点があります。
当店では包丁の研ぎや修理のご依頼も承っております。
錆が深くなってしまいご自身での対処が難しい場合は是非お気軽にご相談ください!
おわりに
鋼の包丁は錆びてお手入れが面倒だと思われることもありますが、切れ味や刃持ちが良く研ぎやすいなど利点も多く、きちんとしたお手入れをしながらお使いいただくと毎日のお料理にとても活躍します!
是非この機会に鋼の包丁を使ってみてはいかがでしょうか!
また、次亜塩素酸水は包丁の殺菌にとても便利ですが、使用後は水でよく洗い流すなど適切な手入れをしないと包丁が錆びる原因にもなりますのでご注意ください。